ノーモア・ミナマタ第2次訴訟で反対尋問が実施されました。

2022年5月13日,熊本地裁でノーモア・ミナマタ第2次訴訟の第40回口頭弁論が開かれ,前回に引き続き原告側申請医師2名の証人尋問(被告側の反対尋問)が実施されました。

現在,この訴訟では1陣・2陣の合計149名の原告についての審理を集中的に行っています。
この149名の原告は,14名の医師によって水俣病と診断されています。もっとも,この14名の医師全員を証人として法廷に呼び,149名について一人ずつ水俣病であると証言していただくのは,とてつもない時間を要して現実的ではありません。それに,どの原告も同じ診察手法と基準で診断されていて,全員について共通診断書も提出していますので,そのような時間をかける実益もありません。
そこで,弁護団としては他の医師を代表できる3名の医師(高岡滋医師,藤野糺医師,積豪英医師)を証人として申請し,それぞれ数名の原告について診断過程等を証言してもらうことで,原告ら全員を水俣病であると証明できると判断しました。
とりわけ,前回の藤野医師・積医師の証人尋問(主尋問)では,①神経所見の取り方に問題がないこと,②他疾患の影響の有無を考慮しても水俣病との診断に間違いがないことについて,証言していただきました。
今回は,このお二人の医師について,被告国・熊本県と被告チッソから反対尋問が2時間ずつ行われました。

藤野医師は,昭和44年から現在まで,50年以上にわたって水俣病患者の診療にあたってきた,世界で最も多くの水俣病患者を診た医師の一人です。
この藤野医師に対しては,被告側から「証人は神経内科専門医ではないですね」,「神経症状をみる専門的なトレーニングは受けていないですね」という質問がありました。
これに対し,藤野医師は,自分は精神神経科に属してきた医師であり,神経内科は日本精神神経学会から派生したものであること,精神の問題をみるためには神経症状をきちんとみなければならないので,神経症状をみるトレーニングを積んできたと証言されました。
被告側の質問には,このような医学の初歩的な事項もわきまえていないものが多く,かえって藤野医師の神経所見の取り方に問題がないことを裏付ける結果となるものばかりでした。

積医師は,水俣病特措法の対象地域外とされた天草地域のクリニックで勤務していたこともあり,最も多くの原告の共通診断書を作成した医師です。2陣までの149名のうち50名の原告を診断しています。
積医師には約20年間にわたって消化器外科を担当した経験がありますが,神経内科の医師ではありません。
被告側からの質問は,診察日によって感覚障害の範囲が異なることの確認,自覚症状の記載と神経所見の記載の確認など,提出済みの共通診断書などの記載から分かることばかりが質問され,ほとんど意味を見いだせないものでした。

藤野医師も積医師も,被告側からの反対尋問によって証言が崩れるということはまったくなく,かえって主尋問で答えたことを補足するような証言をしていただきました。
原告のみなさんを水俣病と診断したことに間違いがないことを明らかにできたと思います。

今回から裁判長などの裁判官が交代したこともあり,この日の弁論では,これらの証人尋問が終了した後に,原告側と被告側の双方から,この裁判の争点等についてプレゼンテーションを行いました。
原告側からは,原告の1名について被害実態を明らかにした動画を法廷で上映し,水俣病の被害とは何かを裁判官に訴えました。

次回期日は,6月15日(水)10:00~原告側申請証人である高岡滋医師の証人尋問が実施されます。
今後とも,多くの方のご支援をよろしくお願い致します。