生活保護基準引下げ違憲訴訟で勝訴しました!

本日、熊本地方裁判所において、ストップ!生活保護基準引下げ行政処分取消請求訴訟について、原告勝訴の判決が言い渡されました!

この裁判は、平成25年8月から3年かけて、生活保護費が最大10%も引き下げられたことの取り消しを求める裁判で、熊本県内の49名の原告が提訴して争ったものです。私は、弁護団事務局長として裁判に関わってきました。

平成25年の生活保護基準の引下げは、生活保護世帯と、保護を受けていない低所得世帯の消費を比較して、その格差を是正する「ゆがみ調整」と、平成20年から23年にかけての消費者物価指数の下落を理由とする「デフレ調整」を口実に強行されましたが、その実体は政権与党となった自民党の政権公約を実現するためのものでした。

厚労省は、自民党の政権公約を実現するために、生活保護基準を検証する専門家の諮問機関である生活保護基準部会の意見を聞くこともなく、生活保護基準部会によるゆがみ調整についての検証結果を2分の1にしたり、総務省が作成した消費者物価指数よりも下落幅が大きくなる生活扶助相当CPI(消費者物価指数)という独自の物価指数を用いてデフレ調整を行うなど、正に引き下げありきで統計を操作するという不当な手段で生活保護基準を引き下げました。

そのことについて、熊本地裁判決では、引下げの根拠についての専門的な分析や検討が欠けていると指摘し、基準引下げについての厚生労働大臣の判断過程に過誤欠落があるために違法であるとの判断がなされました。

生活保護基準の引下げに関しては、全国29の裁判所に同種の裁判が提訴され、地裁判決は熊本を含めて10出されています。このうち、原告側が勝訴したのは大阪地裁と熊本地裁だけです!その意味でも、本日の判決は大きな意義を持ちます。

これまでに地裁判決が出ている全ての裁判で控訴がなされ、闘いの場は高裁に移っています。ですが、熊本の原告さんも高齢化しており、すでに9名が亡くなっています。被告には控訴せず、保護費を元に戻して欲しいと思います。

新型コロナウイルス感染症の蔓延や、ロシアのウクライナへの侵攻などにより、益々厳しい生活に苦しむ方が増える中、最後のセーフティネットとしての生活保護の重要性が高まっています。

これからもおかしなことに声を上げる勇気ある方々に寄り添い、力強く闘って行きたいと思います。裁判を支援して下さった皆様、本当にありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いいましたす。